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「日本画 麻田鷹司」
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日本画 麻田鷹司
「僕は風景を写生するとき、足下から描くことを心掛けています 」という麻田鷹司の言葉を思い起こしながら作品を見てください。例えば「岩礁」では手前の足元に薄を配し、遠くに岩礁を置いた日本海を背景に置いています。まるで見る者をしてそこにたたずんで見る風景のように描かれています。
また「最後の素描」と題した梶川芳友のエッセイの中に、麻田鷹司の好きであった言葉として「今日臨終」と紹介された下りがあるのですが、いつも今描いている絵が絶筆となることを覚悟していたようです。死後アトリエで発見されたスケッチブックは御室の桜の素描で終っているが、そこにもスケッチをした日付と時刻までが記されていたといいます。亡くなる1年ほど前には、梶川に向かって「私が死んだら御車返の屏風を枕元に置いてほしい」と言い残していたといわれています。そのころすでに生命の終焉を覚悟しながら画業に立ち向かっていたものと思われ、胸が熱くなる思いでもあります。葬儀の枕頭には遺作「名木御車返」が置かれていたといいますが、その花びらは散ることもなく光輝いて描かれています。
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